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ドキドキ


『好き』だなと思う時がある…

それがどんな分類に属するモノで、

どんな意味のモノかは解からないけれど、

『好き』だなと思ってしまう時がある。

色々と思うトコロはあるけれど、

別にそう思ってしまう事自体は、嫌ではないと思うから、

いいかもしれない…なんて思ってしまう自分が少しだけ、



嫌いかもしれない…。



――――――――――――――――――――――――――――――

「君は可愛いよね」

ふと、何気なく続いていた心地良い沈黙を破ったのは、ル・ブレッドからだった。
しかも云った科白がコレである…

「は?」

思わず僕が間の抜けた返答の声を出したとしても仕方がない事だと思う。

「ん?素直な感想だよ」

そう云って君は実に楽しそうに笑っていて…

「何を云い出すかと思ったら…
 男の僕が『可愛い』なんて云われたって仕方ないだろう」

本気なのか、からかっているのか解からなくて、思わずちょっとだけ、
不機嫌な表情をしてしまう。

実際、彼程本気と冗談が解かり難い人物は、
そうは居ないのではないかと思っている。
何時でも本気の癖に、
からかいと冗談と、意地悪と悪戯、
それらも全て仕掛けて来るからタチが悪い。
しかもそれを自分でも自覚している上で、行動や言動に移しているのだから、
なお更だ…

「そうかい?
 充分君に対する誉め言葉だと思うけどな」
「じゃあ君は『可愛い』なんて云われて嬉しいって云うのかい?」
「まさか。
 僕はそんな部類には入っていないからね」
「それなら…」「でも君はいいんだよ、実際可愛いんだから」

「ッ―――― 」

それはいかにも決まりきった当然の事とでも云うかの様に、
キッパリと云い切られてしまって、
返す言葉が見付からなくて思わず絶句する。
何だか顔が熱くなってきて、今自分は赤面しているんだろうな、
なんて別の所で考えてしまったりして…

(男が男に真顔で云い切る言葉では無いと思うんだけど今のは…)

「ほら、君のそういう反応とかね、すごく可愛いよ鳴滝くん」

クスクスと笑いながら云われて、自分の顔が更に赤くなっていくのが解かる。

「からかってるだろうル・ブレッド」
「まぁね、でも本気で言ってるよ…」
「~~~~…嬉しくない…」
「そう?」

云いながら、何時の間にかル・ブレッドが随分と傍まで来ていて、
その事は解かっていたけれど、
腕が伸びてきたと思ったら、次の瞬間にはギュッと抱き締められてしまった。

時々…ル・ブレッドは急に抱き締めてくる時がある。

最近、少しはこういう事に慣れて来たとはいえ、
やはりすごくドキドキしてしまう。
前もって言われた上での行動でさえ、僕には随分と心の準備が必要なのに、
急に行動に出られると思わず頭も体も動きが止まってしまう。

(無駄だと解かってはいるんだけど)
それが嫌で何時もやらない様に云ってはいるのだけれど…
そう云って聞き入れられた事なんて無い。

「ル・ブレ…ッ!」

一瞬止まっていた思考が復活して、
抗議しようと口を開いた瞬間、その口を塞がれてしまった。
目の前には近過ぎて焦点の合わないル・ブレッドの顔があって…
復活したハズの思考はまた動きを止め、
その急な行動を受け止めてしまう形になる。

困った事は、自分がそれをあまり嫌な事だと思っていない事で、
でも、それを彼に知られる事は絶対に嫌で…

「!っん・・んん…!!」

口付けが少し深くなってきた所で、ハッと我に返ると、思い切り抵抗を試みる。
ジタバタとしていると、やっと唇を解放される。

「ッ…っんで君は何時も急にそんな事をするんだ!!」

息を継ぎながら、自分の動揺を隠す様に思わず声が大きくなる。

「急じゃなきゃいいのかい?」
「―――ッそう云う問題じゃなくて!」

予想通り一向に気にした様子は無くて…
自分だけがドキドキして動揺しているのかと思うとすごく悔しい。
益々顔が赤くなっていく。

「特権だよね」
「え?」

云われた意味が解からずについ、
今自分が怒っているのだという事を忘れかける。

「普段の君は何時でも冷静だからね、
 そんな君の動揺した顔とか見れるのは特権だと思ってね」

じっと僕の目を見詰めながらそう云う君は少しだけ…

「もちろん、
『怪盗』の僕を追っている時の『探偵』の顔をした君を見れるのも
 充分特権だと思うけどね」

そう云って彼特有の人の悪い、
そのくせ惹きつける様な笑顔を見せながら、
隙を突いたかすめる様なキスをして…
またそのまま強く抱き締められてしまった。

「すごくドキドキ出来るよ…君と居るのはね…」

耳元で囁かれた言葉。

今だけ…
少しだけなら、大人しく腕の中に居てもいいかな、と思ったり…
相変らず僕はドキドキしていて、
でも…君もそうなのだろうかと思ったら、
少し嬉しくて…


――――――――――――――――――――――――――――――

こんな時に思わず『好き』かもしれないと思ってしまう。

きっとそれは僕の素直な気持ち。

でも、そんな事を考えている自分が少しだけ…好きじゃない。

だからそれを君に伝える事は絶対にしない。

ドキドキするけど…

『好き』だけど…やっぱり『嫌い』

これも僕の素直な気持ち。


                                 END



又もや駄文を書いてみました…
灰色狼猫です(^^;)
甘いですね今回のは…
と、云いますか…
誰なんだろうこのヒト達…って
感じですね。
自分でも普段滅多に書かない様なモノを
書いてしまいました(苦笑)
(普段は『罠』みたいなモノの方が
 多いと云うか…基本的に理不尽な話
 書く方が楽なので…好きだし(汗))
でもたまにはこんなのもイイかな、
などと思ったりしまして…
只の気紛れです。
今回の2人は別モノだと思って下さい。
こんなのアノ2人じゃないな…とか…
本当に…
こんなの押付けてゴメンね(^^;)
いえいえ全然!嬉しいです~♪
また書いてくれて有難う(≡*≧▽≦*≡)
今回の2人はラブラブですね!(笑)
たまにはイイですよこんな2人もv
て言うか、O.Kですよ私は!!
もうル・ブx鳴 書いてくれるのなら何でも
全然O.Kなのです~Vv
ラブラブでもキ○クでも~!
…っておい!!Σ\(≡>□<≡)
↑飢えてるなぁ(≡^ ^ι≡)
また今度書いたら見せてねv(笑)
いつも楽しみにしているのさ~♪
GET=2000


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